生産する人々
地元から愛される、人気すし店の2代目が
手作りするおすすめの燻製
「月場砂(つばさ)」
埼玉県さいたま市、東大宮駅から徒歩約15分。銀座で腕を鳴らした父の店「すし屋の信太」の隣のスペースにその燻製工房を構える「月場砂」。「燻製&鮨」というコンセプトを掲げた自分の鮨店「283(つばさ)」も評判で、生粋のすし職人・料理人でもある。「月場砂」の一番人気の商品は「燻製サバ」。燻製にした後、食べるときに、常温でも柔らかな皮としっとりとした身をキープするため、試行錯誤して辿りついた調理法が肝になる。そして、特製の木製燻製機により、季節や天気、外気温と調整しながら数回にわけて燻製を仕上げることで、最高の食感と風味を閉じ込める。噛めば噛むほどサバの旨味が染み出るような、深い味わいが口の中で広がる至福の時間を、どうか多くの人に楽しんでもらいたい。
実はすし屋になるつもりはなかった。でもある日、引かれたレールに乗ってしまった。そしてその日から、家族は父と息子ではなく、師匠と弟子に。主体性のない自分がそこにはいた。父は非常に厳しく、料理の基本を徹底的に叩き込まれること、10年以上。本当に嫌だった。嫌だったが、ただただ何も考えることもせず、言われた通り手を動かしてきた。転機が訪れたのは、5年ほど前。自分の店を持たせてもらえた時だった。コンセプトは「燻製&鮨」にした。勉強のため、父と尋ねた東京のお店で出会った燻製がとても美味しく、父の店でも少しずつ一般的な燻製を出すようになっていた時期だった。「燻製」を売りにしよう、そう決めて、自らのお店をオープンした。
ダメだ
お店をオープンして半年。有難いことに父の店の常連さんが心配して様子を見に来てくださる。そして、皆さんから「やっぱりお父さんとは違うね(=お父さんの技術にはなんか足りないね)」という正直な感想が、今まで受け身だった自分自身を心の底から奮起させた。今まで、どれだけ自分で考えて、決めて、行動してきただろう?自分に問いかけた。父から授けられた和食の技術はすでに染み込んでいる。その上で、全てをいったん壊してみよう。魚の取り扱いから勉強し直してみよう。燻製という技術を徹底的に高めていこう。そう決めた。そして、いったんそう決めて、行動すると、出会いはちゃんとやってきてくれる。
「津本式 究極の血抜
き」と
その仲間たちとの出会い
熟成させた魚の旨味の魅力に気が付き、何度も試行錯誤を繰り返してはいたが、最終的に魚を腐らせてしまうという始末だった。そんなときにネット検索をしていて偶然「津本式 血抜き方法」と出会った。すぐに試してみたら熟成保存の旨味が上がってきた。すぐに知人の知人とつてを辿り、ご本人に連絡を入れると気さくに返事をいただきアドバイスまでいただけた。そして、一気にその仲間たちとの交流を深め、互いに研鑽し、一緒に魚を熟成保存させる技術を日々更新している。自分の力で進むことで、魚をより可愛がるようになった。食品ロスは圧倒的に減った。やっとスタートラインに立てた心持ちになれた。そしてこの時やっと、父がいなければ今の自分はなかったと感じることができた。心の底から尊敬している師匠であり、感謝の想いしかない。
思い出に残るよう
なモノを提供したい
サバの燻製も最初は上手くいかなかった。冷蔵庫から取り出して、調理せず常温ですぐ食べられる燻製を作ることが目標だった。舌触りも旨味も完璧なものを提供したい。最初に試した調理方法は冷えると皮がゴムのように固くなってしまった。次の調理方法では水分が抜けきってパサパサになってしまう。次の調理方法ではサバが反ってしまった。見た目も重要だ。サバの種類も変えてみた。ノルウェー産は脂がたっぷりとのっている為、候補だったが冷凍になってしまうため臭みが出やすかった。しかし、「津本式」が冷凍の魚でもしっかり応用できることが仲間たちとの情報交換でわかってきた。低温調理方法も加えると、手間は格段に増えた。しかし、燻製機から取り出して、美しく色づいたサバに最初にあえた瞬間、納得の味にやっと仕上がったと直感した。
どうか多くの皆さんに「月場砂」の燻製を手に取っていただき、食べ終わった後、楽しい思い出として振り返っていただける、そんな商品になっていたら心から嬉しいです。
燻製 月場砂(くんせい つばさ)
店主:佐々木月場砂
〒337-0051
埼玉県さいたま市見沼区東大宮3-2-65
TEL:048-788-1303
〈たべりば取り扱い商品〉
・燻製サバ 935円(税込)